SPECIAL INTERVIEW特集記事

#07

セブ島日本人会 会長 松田 和人
インタビュー「セブ島の今とこれから」

INTRODUCTION

世界で一番長くロックダウンを続けている国と言われるフィリピン。 セブ島でも2020年3月からロックダウンが始まり一年以上の時が経ちました。 今も変異を続けながら猛威を奮う新型コロナウィルス。 今回はセブ日本人会で会長を務める松田和人さんに現在のセブ島の状況や今後についてお話を伺いました!※2024年度より新たに藤岡頼光氏がセブ日本人会の会長に選任されました。

セブ日本人会 会長 松田 和仁

1967年生まれ、福岡大学卒。2003年、(株)アイランドに入社、12年に同社取締役に就任。13年に(株)アイランドウェイフィリピン代表取締役に就任。フィリピンセブ島他に複数のホテルやレストランの開発から運営までを手掛け、豊富なノウハウと人脈を持つ。19年より独立しコンサル業や人材事業に従事。2020年、セブ日本人会の第17代会長に就任。趣味はセブ市内でのジョギング。

コロナ渦におけるセブ島の現状は?

セブヨロ編集部:お久しぶりです!今回はコロナ禍において日本帰国を余儀なくされた移住者の方々や、セブ島留学を心待ちにしている方、セブ島に観光に行きたい方などセブを愛する皆さんに向けてセブ島の現在の状況や今後についてお話を聞かせていただきたいと思います!

松田さん:お久しぶりです。よろしくお願いします。

セブヨロ編集部:まずロックダウンから一年以上の時が経ちましたが、コロナでセブ島から帰国された方はどれぐらいいらっしゃるんですか?

松田さん:おそらくあれから3000人以上は帰国されていると思います。ロックダウン当初、臨時便が何度か日本に向けて飛んでいるのですが、2300~2400人ぐらいはデータとして残っておりますのでその時から考えると3000人以上は帰国した方がいると思いますね。今、フィリピンの新規感染者は毎日5000~6000人以上でていると報道されていますが、セブは最近データ発表も行われていません。友人のドクターに話を聞いたところ、フィリピンの中では一番安全と言って良いのでは?と仰ってました。病床率も1年前は非常に逼迫していましたが、最近はコロナ病床を減らしたうえに、それでもまだ病床については余裕があると言ってましたね。なのでそういう意味ではセブに関してはコロナは落ち着いてきているといった状況です。

セブヨロ編集部:最近、ドゥテルテ大統領が「ワクチンを打たない奴は投獄だ!」といった驚きの発言をニュースで見ましたがワクチン接種は進んでいないのですか?

松田さん:フィリピン全体で2回接種を終えた人だと、まだ3%ぐらいとドクターが言っていました。なかなかまだ進んでいない状況ではありますが、友人の中にも接種を終えたという人も増えてきましたし、日本でもワクチン接種については保存方法など色々と問題が取り沙汰されていましたがフィリピンも同じで、ワクチンに対して不安視される方や打ちたいという方と打ちたくないといった方の意見はやはり分かれていますね。

セブヨロ編集部:今のセブ島の街の状況はどうですか?

松田さん:去年と比べるとずいぶん街に人の活気は戻ってきているように思います。ただ、サービス業がまだ復活していないので雇用はまだまだ厳しい気がしますね。でも街を見ると建設業も進んでいますし、日本人によるリゾートホテル建設の話も聞きますので経済や開発も進んでいると思います。

セブヨロ編集部:閉店してしまったお店も多いですか?

松田さん:ショッピングモールに行くと空きは増えましたね。コロナ直前にOPENしたIT PARKのアヤラモールはタイミング的にも悪く、開いてるお店の方が少ないように感じます。ただ古くからあるアヤラモールやSMモールは若干お店が減った感じはしますが、大きく減った感じはしませんね。

セブヨロ編集部:ショッピングモールなど、フェイスシールドを付けないとまだ入店できないんですか?

松田さん:まだそうですね。着用義務も撤廃される方向に向かってきてはいますが、まだ正式に発表にはなっていません。

セブヨロ編集部:ということは皆さん外出時にはフェイスシールドを持ち歩かないといけない状況なんですね。

松田さん:そうですね。いつ必要になるか分からないのでフェイスシールドは必ず持ち歩くようにしていますし、マスクは絶対ですね。

セブヨロ編集部:セブ島から外国人観光客がいなくなってどう変わりました?

松田さん:今はどこもフィリピン国内の観光客を誘致するために動いている感じですね。マクタンのリゾートホテルなどはローカルの観光客ばかりですし、金額を下げて稼働率を上げるといった動きに変わっています。先日カオハガン島に行ったのですが、ローカルの観光客で溢れかえってコロナ前のような賑わいで驚きましたね。

セブヨロ編集部:やはりセブ島から外国人がかなり減っているんですね。

松田さん:日本人だけではなく韓国人や中国人も含め随分いなくなりましたね。

セブヨロ編集部:治安などはどうですか?

松田さん:治安に関しては当初はとても悪くなるのではないかと言われていました。ひったくりや泥棒などが増えたり、日本人に対して何か危ないことが増えるのではないかと想像していましたが、実際は治安が悪くなったという風には感じませんでした。やはり日本人の皆さんは夜中に外出しないなど、ちゃんと気をつけていたというのもあると思います。

セブヨロ編集部:僕も心配になって友人などに連絡して治安の状況を聞いたりしていたのですが、意外と治安に関してはみんな大丈夫と言っていて安心しました。セブの留学や観光の事業などは今後どうなっていくと思いますか?

松田さん:やはりそこに関してはワクチン次第といったところもあると思います。フィリピンの感染者数が減らないと日本からの観光客も来たいとは思わないでしょうし、フィリピンの中で大統領含め政治がどう判断するかにもよると思います。子どもから高齢者に感染する恐れがあるなかで、子どもは重症化しないけど高齢者は重症化するというリスクがあるが故に今でも15歳未満と65歳以上は外出禁止になっているので、その規制がワクチン接種によってどう変わるかで開国や留学事業の再開なども決まると思いますね。

セブ日本人会の活動と存在意義。

セブヨロ編集部:最近の日本人会はどういった活動をしているんですか?

松田さん:今年、外務省が外国にいる邦人のための予算を決めて、そのエリアにおける在留邦人の数によって金額が決まる「海外在留邦人・日系人の生活・ビジネス基盤強化事業」助成金というのがあるのですが、現在届出がでているセブの在留邦人が2500人ほどいて今回セブ日本人会より申請を行い無事に助成金の許可がおりました。これに伴いセブ日本人会が主催となり、コロナに関する相談ができるホットラインの開設やセブポットさんに協力して頂きオンラインやSNSを通じた情報発信、日本人経営のレストランを使ったコロナ関連のセミナーの開催などをやっていきます。セミナーには日本人ドクターにも協力して頂き医療相談なども直接できるようにしていきたいと思っています。あとはセブポットの情報誌と共にマスクやフェイスシールドの配布なども行っていく予定です。コロナ禍においてセブ島日系企業と共に、在留邦人の皆様にとって有益な活動を行ってまいります

セブヨロ編集部:やはり海外に住んでいる方はコロナ禍で不安も多いでしょうし、こういった日本人会の活動で少しでも不安の解消になればいいですね。あとは有事の際は在留届の必要性もすごく感じますし、海外に住む日本人の心が一つになると良いですよね。

松田さん:そうですね。今年からセブは総領事館に変わり、総領事からの提案でセブ日本人会主催でマリバゴエリアの海岸清掃プロジェクトをやったら良いのではないかということで、先日、日本人30名、フィリピン人70名、計100名による大規模な清掃活動を行いました。大量に回収されたゴミの一部は、日系リサイクル業者によりフラフ燃料に再利用されるんです。

セブヨロ編集部:それはとても素敵な活動ですね!

松田さん:いま残っている日本人の皆さんと協力し、より住みよいセブをまた作り上げていきたいと思っています。こういった活動で今まで出会ってなかったセブ在住の日本人の方との出会いもあったりするので、これからのセブ島の未来のためにも日本人会としてできる活動をしていきたいと思っています。

セブヨロ編集部:新たな出会いのキッカケにもなってるんですね。

松田さん:今は個人個人で海外の情報もすぐ調べられる社会ですし、SNSなどで自分でコミュニティを見つけることもできる時代になっていますので、今までも日本人会が存在する意味というのは自分自身いつも問い続けていました。日本とフィリピンの交流や日本人コミュニティと銘打ってはいますが、会員数も少ない中で存在意義みたいなものをとても考えていました。ただ、やはり今回のコロナのような有事の際に、海外に住む日本人が一つになれるための会としては日本人会が存続して助けてあげられるようにしていきたいと強く思いましたね。

セブヨロ編集部:ロックダウンで日本行きの飛行機のキャンセルが相次ぐ中、困っている日本人の為の臨時便の手配など正直、日本人会がある心強さみたいなのを今回とても感じました。

松田さん:ありがとうございます。やはり会員が増えないと存続できない会なので、これからどう皆さんに理解してもらい皆で助けあっていける会にしていけるかと今は考えていますね。

セブ島のこれから。日本人会から皆さんへのメッセージ。

セブヨロ編集部:松田さんにとってこのコロナ禍の一年を振り返ってみてどうでしたか?

松田さん:やはり起こるべくして起こったと思っています。よく「なんでまだセブ島に残っているの?」と聞かれることもあるのですが、これは日本に帰国したからどうとか、残ったからどうとかそういった事ではなく個人個人の選択なので、僕は残るという選択をした1人として、ある意味とても貴重な経験ができたなぁと思っています。それとやっぱり、どこかでセブ島はコロナが落ち着き始めたら早い時期にまた以前のような活気が戻るのではないかという自信もあるんです。なので今残っている日本人の皆さんと一緒に、皆が日本から戻ってきた時の準備をしていければいいなぁとも考えています。

セブヨロ編集部:これからのセブ島を楽しみにしている方々に新たな情報もあったりしますか?

松田さん:セブ島からタリサイ市に向かう湾岸線の開発エリアのことを総称してSRP(South Road Property)と言うのですが、あそこの開発がとても進んでいますね。ロビンソンがカジノホテルを急ピッチで建設していたり、SMシーサイドモールの隣の広い土地には2024年までに7000人規模の大きなコンサート会場を建設すると言われています。第3の橋も今年中には開通されるらしいのでSRPの開発は特に進んでいて今後が楽しみだなぁと思います。あと最近は海のリゾートだけではなく、セブはマウンテンリゾートが熱いですね。キャンプやグランピングができる宿泊施設やおしゃれなカフェもあるので、山に行く方が増えてきている気がします!セブの山手にナガの南の方から高速道路の工事が進んでいるので、今後はセブ島内でも新たな行き来が増えて色々変わっていくのではないかなと楽しみですね。セブの行政もコロナで苦しい時ではありますが、今後を見据えて新たな発展を考えて動いている感じがしますね。きっと皆さんが戻ってくる頃には今までと違うセブ島の楽しみ方が増えていると思います!

セブヨロ編集部:わー!山ですか!日本でもアウトドアブームでグランピングなど流行っていますし、それはとても楽しみですね!

松田さん:セブでしか味わえない温暖な気候や自然の素晴らしさ、コロナで苦しい中でも笑顔であるという国民性はフィリピン・セブでしか感じられないものがあると思っています。また観光や留学などで行き来ができるようになった時は、たくさんの方々に遊びに来てもらいたいですね。そしてもっと日本人の方が起業したりビジネスを広げられるような場所にもなってもらいたいので、私もそのためにお手伝いをできるように頑張っていきたいと思います。

セブヨロ編集部:セブ島の未来を想像するとワクワクします!今回はありがとうございました!

松田さん:ありがとうございました!

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