異彩の演出家「えのもとぐりむ」
が語る、セブ島旗揚げ公演の舞台裏。
INTRODUCTION
3年間の期間限定で活動する劇団空白ゲノムを立ち上げるなど、日本の演劇界で新たな風を吹かせ注目されている若手脚本演出家えのもとぐりむ。今回その劇団員と共に大所帯でのセブ島留学、しかもセブで劇団旗揚公演まで行ったえのもとぐりむさんにお話を伺いました!
えのもとぐりむ
ぐりむの法則主宰。水野美紀との演劇ユニット「かくたすのいるところ」でも活動。その他ドラマ「下北沢ダイハード」や映画でも脚本を執筆。独特の世界を描くえのもとぐりむワールドには著名人や業界人にもファンが多い。著書に『フクロウガスム』がある。
劇場留学という新しい演劇を作りたい。その第一歩として選んだのがセブ島だった。
CEBUYOLO編集部:今回まず驚いたのが劇団員を引き連れてのセブ島留学ですが、そもそもなぜ劇団で語学留学だったのでしょうか?
えのもとぐりむ:はい。まず今回、3年間という期間限定の劇団を立ち上げまして。その中で、役者達の芝居力を3年間で上げるというのは限度があると思ったんですよ。もちろん、ある程度までは伸びるだろうけど3年間で確実に身につくもの、今後俳優たちが実践的に使えるもの、という事で英語を学ばせたいと思い、AHGS English Academyさんでセブ留学を決めました。
CEBUYOLO編集部:今回の留学には何人の劇団員を連れて?
えのもとぐりむ:僕合わせて27人です!
CEBUYOLO編集部:それはみんなで勉強?
えのもとぐりむ:最初、僕個人は英語の勉強をするつもりはなかったのですが(笑)、みんながやるのに僕がやらないのはあまりにも無責任だなーと思いまして。みんなと一緒になって英語を勉強しようという意思でこの国に来ました。
CEBUYOLO編集部:英語は舞台にも役立てていくのでしょうか?
えのもとぐりむ:元々、劇団員の知り合いに浅草でバーをやってる人がいて、外国人のお客様が多いらしいんですよ。そのバーで演劇をやりたいなぁと考えていたのですが、外国のお客様が観に来た場合、日本語の作品だと内容がよくわからないから英語を混ぜようとなりまして。だったらセブ島に行って英語を学んで浅草で舞台をやりたいなと。
CEBUYOLO編集部:という事は、今後英語を使った舞台も上演されるんですか?
えのもとぐりむ:はい!もう予定しています。それを劇場留学というコンセプトにしたくて。まず、日本で演劇を観ながらリスニングができる形を作りたい。観劇後は交流会をして、お客様とリスニングもリーディングもできて、日本にいながら海外の文化を学ぶというのを演劇を通じてやっていきたいと思ってるんです!
日本居酒屋が舞台、斬新なアイデアが生み出す唯一無二のエンターテインメント。
CEBUYOLO編集部:それはかなり斬新なアイデアですね。ちなみに語学留学はどうでしたか?
えのもとぐりむ:楽しいですね~。ただ3週間じゃまだまだ学びが足りなくてもう少し長くいたかったですね。やっぱり2~3ヶ月はしっかり学ばないと英語が身につくというところまではいかなかった。また早くセブに戻ってきたいなと思っていますし、日本に帰っても英語を続けなきゃなダメだなとも思っています。
CEBUYOLO編集部:今回セブでの旗揚公演を行うキッカケってあったんですか?しかも会場が居酒屋というのも驚きましたが!
えのもとぐりむ:SHOGOさんと話している中で、せっかくセブに来るなら現地の人達に舞台を観せたいよねって話になり、SHOGOさんのご紹介で松之家(セブの日本居酒屋)を経営している松田さんと会えたことが大きかったですね。
CEBUYOLO編集部:実際に公演を行ってみてどうでしたか?
えのもとぐりむ:やはり色々と勉強になりました。僕自身、劇場以外で公演を行うのは二回目だったのですが、どういう作品をやればいいか、演出、作品選びなど今回初めてやって気づいたことも多いので改善して、もう一回セブ公演をチャレンジしたいです!
CEBUYOLO編集部:昼・夜公演共に満員でしたが、実際お客さんの反応はいかがだったでしょうか?
えのもとぐりむ:作品自体をどう思ってくれたかは正直僕にはわからないんですけど、目の前で演劇、演技やエンターテイメントを観れる喜びみたいなのは会場の雰囲気で感じられました。観劇後にお客様と喋った時にもそういうことを言われたりしました。
CEBUYOLO編集部:セブ旗揚公演は短編集「愛の鎖,CHAIN OF LOVE」というタイトルでしたが、作品のテーマみたいなものはあったんですか?
えのもとぐりむ:三作品とも共通であったのが、人が人を愛する事というのは良い方向もあるし、逆に憎しみだったり裏切りだったりもあるって事を伝えたくて。この舞台を観た方が、それぞれ好きな方向で捉えてくれて、自分のプライベートを見直したり、何か感じるものがあればいいなとおこがましくも思っています。1つめと2つめの作品は、過去に水野美紀さんと一緒に上演した作品で、3つめの作品は実は半分しか台本がなかったものを今回初めて上演しました。稽古の中で、ほとんど口伝えで作った作品ですね。
セブに来たからこそ感じられた日本人の懐の深さ、それが公演の成功へと繋がった。
CEBUYOLO編集部:日本とは違う国で慣れない環境だとは思いますが稽古はどうでしたか?
えのもとぐりむ:QQ EnglishさんやBATTLE GROUNDフィットネスさんなど、たくさんの方々の協力で日本にいる時より良い環境で稽古ができたんじゃないかと思っています。本当にセブの皆さんには感謝しかないですね。
CEBUYOLO編集部:不便だったことはない?
えのもとぐりむ:ん~。不便だったのは交通の面ですかね。バイクタクシーは渋滞でも早いし便利なのですが、男の子は乗れても女の子は恐いし危ないから乗れなかったり。稽古時間にしても、渋滞で遅れるから予定が組めなかったり、いつ到着できるか予想できなかったりしました。
CEBUYOLO編集部:ぐりむさんの思うセブ島の魅力は?
えのもとぐりむ:セブに来て、日本人の懐の深さみたいなのを凄く感じました。公演をやると決めてからの日本の方々の協力が本当に有り難かったです。きっと日本じゃこんなに協力してくれないと思うんですよ。舞台にしてもエンターテイメントにしてもいくらでもあるし。でも、セブに僕らが来ているからこそ、セブの仲間だと思ってくれてる感じがとても嬉しかったです。
CEBUYOLO編集部:勉強に舞台稽古に旗揚公演、、、。セブで遊びに行く時間なんてなかったですよね(笑)?
えのもとぐりむ:バケーションとしては全く楽しめてないですね(笑)。アヤラモールとSMモールで買い物したぐらいですかね。でも魅力の一つとしてご飯が安いし、美味しいなと思いました!例えば、ドラム缶焼肉粋や、アヤラにあるスイートルーム、松之家さんも美味しいですね。日本食が恋しくなった時に三日連続で松之家さんで晩御飯食べましたし(笑)。
CEBUYOLO編集部:今後またセブに来られる予定はあるんですか?
えのもとぐりむ:まだ半分の劇団空白ゲノムの劇団員が来れてないので連れてきたいなとは思っています。日本の人気がある俳優陣もセブで公演やるなら出たい!って人もいたので、次回は少数精鋭でセブに舞台の公演だけを目的に来てもいいですね。今回の公演がキッカケで何人かの方から、ウチの場所で公演して欲しいと言われたりもしたんで色々楽しみです!
お金が無くても英語を学べる環境が作れる、それがセブ島留学の最大の魅力。
CEBUYOLO編集部:それは楽しみですね!日本での活動は?
えのもとぐりむ:劇団のお客さんと一緒に会議をやるイベントをやっていて。自分たち発信の企画とは別に、サラリーマンの方や企業で働いてるの方たちの頭を使って演劇人には思いつかないような発想を企画してカタチにしていきたいなと思っています。
CEBUYOLO編集部:では劇団空白ゲノムの第二回セブ公演楽しみにしていますね!
えのもとぐりむ:セブの皆さんが受け入れてくれるなら本当にやりたいです!まだまだやれたという悔しさもあるし、英語の勉強もしたい。やっぱり一回じゃ全てを出し切れなかったんで。セブはそうやって成長していける刺激的な環境でした。
CEBUYOLO編集部:では最後に一言お願いします!
えのもとぐりむ:セブ島は、まず英語圏だという一番の魅力がある。今後必ず英語を使ってビジネスと掛け合わせていく時代になると思うし、食わず嫌いで英語を勉強してこなかった方も、まずセブに来ることがオススメですね。日本人にとってはとても良い環境で、泊まるのも食費も安いので、若い子でお金がない子も来やすいと思うんです。例えば今回、劇団員がお世話になった0円留学なら、お金がなくても英語が勉強できる環境を作れるし、セブで英語を身につけて今後の自分への未来への投資にもなる。僕たちもセブ島でどんどん企画していきたいなと考えてるし、演劇人こそセブで英語を学んだ方がいいと思いました!
CEBUYOLO編集部:ありがとうございました!